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創業融資
先日、融資相談にこられた方が大きな問題を抱えていたのでご紹介いたします。
とても謙虚な方でコロナで影響を受けながらも事業を継続して頑張られている方で、特に問題がないように思われました。しかも、既存の借入金を5年かけて完済間近のところでした。
通常であれば、金融機関側からもう一度借りてほしいと依頼されてもおかしくないような状況です。
しかし、保証協会から“No”の回答が出たため、借入を行うことができなかったとのことです。
その状況を改善できずに弊社に相談に来られたため、公庫のコロナ融資も厳しい回答となりました。
この原因が、今回のテーマである「役員貸付金」です。
ある意味、無意味な(?)法人化が生んだ悲劇なのかもしれません。
税理士事務所は税金計算のプロですが、事業継続のプロではありません。正しい税金計算が会社を苦しめることもあるのです。税理士からの指摘がない場合には、ご自身で内容を確認するようにしてくださいね。
目次
役員貸付金とは、会社から役員に対して貸し付けているお金のことです。
役員報酬でもないのに通帳からお金を引き出して経費を精算すると領収書がない取引分を処理できず、この残高が貯まっていきます。また、クレジットカード払いを個人分と法人分を分けていないと残高が増えていきます。
この他には、現金商売をしているが、現金売上を預金に入金せずに家事費の支払に充てたりすると発生することになります。
似たような勘定科目に役員借入金があります。こちらは、お金の流れが逆で役員から会社に対して貸し付けているお金のことを指します。
役員貸付金のメリットは全くないわけではありませんが、この科目を使いこなすにはだいぶテクニックが必要になります。そのため、多くの場合は、デメリットの方が目立ちます。以下で確認していきましょう。
会社は、利益を獲得することが至上命題だと考えられていますので、会社が役員にお金を貸したのは利息収入を得るためだと法人税法上は考えます。そのため、金融機関からの借入金利息などを勘案して利息を計上する必要があります。
計上した利息は、法人税の課税対象となるため法人税負担が増えます。決算書を確認すればすぐに分かることですので、利息を計上していないと税務署さんもすぐに気付くため指摘される可能性はとても高いです。
役員貸付金という勘定科目は、金融機関からの評価がすこぶる悪いです。
銀行からすると、会社に貸したお金が、そのまま個人のお財布に入っていき何に使われているかさっぱり分からない状況になるからです。
例えば、友人から頼まれて車を買うお金を貸してあげた翌日、その友人が「今日は俺のおごりだ~。」とか言いながら大金を握りしめて大人数でキャバクラ店に入っていくのを見かけたとしたらあなたは何も感じないわけにはいかないでしょう。
役員貸付金というのは、銀行に対して上記のような行為を行っているようなものになります。
役員貸付金は、信頼を重要視する金融機関に対する裏切り行為だという認識を持ちましょう。
上記で触れたとおり、役員貸付金の存在があると融資審査が不利になります。
例にあげた方も借入金の返済はしていましたが、毎年役員貸付金がどんどん膨れ上がっていき、総資産の半分が役員貸付金となっているところまできてしまいました。融資が断られてしまったのにも関わらずその後も残高は増え続け資金繰りがいよいよ厳しくなってきたところで相談に来られました。
当然、このままでは融資を受けることはできません。では、どうすべきでしょうか?
これは、思いのほか単純で
「貸付金の発生原因を明らかにする」→「発生原因を対処する」→「残高を減らす施策を考える」
を実行することで対処します。
実際に残高が残っていたとしても上記のことが行われていれば、融資を受けられる可能性は格段に上がるものと思われます。
特に税理士事務所に丸投げしているとこの部分を解消することはできません。自分で気が付き対処する必要があります。そのためには、まず試算表を税理士さんから出してもらってチェックするようにしてくださいね。
この記事の投稿者 : 宇佐見 紘且
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